交通事故の相手が無保険の場合のQ&A
相手が無保険の場合、保険会社からお金を賠償してもらえないのでしょうか?
賠償(補償)してもらえる場合があります。
交通事故の相手が保険に未加入だと、賠償(補償)を受けられないのではないかと心配になる方もいらっしゃるかもしれません。
以下、相手が無保険だった場合にどうなるのかについて、ご説明いたします。
⑴ 政府保障事業
まず、強制保険である自賠責保険にも加入していない場合には、政府保障事業からの補償を受けることが可能です。
保険金の支払い基準は、自賠責保険金の支払い基準に準じますが、健康保険や労災保険といった社会保険の給付を受ける場合は、その金額が差し引かれます。
⑵ 自賠責保険
相手が自賠責保険は加入していて、任意保険に加入していない場合は、自賠責保険金は請求すれば支払いを受けることができます。
⑶ 人身傷害補償
自賠責保険金では足りない部分については、自分が加入している保険会社から、人身傷害補償特約が付いていれば、約款に定められている基準(通常対人賠償基準よりは低く、弁護士が交渉できない金額)での支払いを受けることが可能です。
⑷ 無保険車障害補償
また、死亡や後遺障害等級が認定された場合には、無保険車障害補償特約が付いていれば、その特約に基づいての保険金を受け取れる場合があります。
しかし、この特約は、後遺障害等級が未認定であったり、非該当である場合には適用されません。
相手方本人には賠償してもらえますか?
相手方の資力によりますが、相手方に十分な資力がなく、高額な賠償金を支払ってもらうことは現実的に厳しい場合がほとんどです。
訴訟をして全面勝訴したところで、そもそもお金がない人から、賠償してもらうことはできません。
強制執行をかけたところで、口座に数十円~数百円のお金しか残っていなかったということもよくあります。
無保険車から満足のいく賠償金を勝ち取ることは、事実上難しい場合が多いというのが現実です。
※別途、使用者責任(民法715条)等や運行供用者責任(自賠法3条)が問えないか検討する余地もあります。
車の損害については賠償してもらえますか?
相手方の資力によります。
物的損害については、自賠責保険では賄われませんので、物的損害を賠償してもらうためには、自分の車両保険を使う以外であれば、やはり相手方に賠償してもらうほかありません。
賠償金が数十万円で済む場合には、資力がない方でも、毎月数万円ずつでもいいので分割払いしてもらって、賠償してもらう方法もあります。
※別途、使用者責任(民法715条)等が問えないか検討する余地もあります。
相手方からの賠償を全く期待できない場合や早期解決をしたい場合には、自分の車両保険を使うことが考えられます。
もっとも、特約でもついてない限り、車両保険を使うと、翌年度以降の保険料が上がってしまいますので、ご利用の前によくご確認ください。
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