交通事故の過失割合の決まり方
1 過失割合は誰が決めるのか
過失割合は、示談段階において、当事者同士の話し合いで決めます。
過失割合に争いがあり、裁判となった場合には、最終的に裁判所が判断することになります。
過失割合は警察が決めると思われている方もいらっしゃるようですが、そうではありません。
そもそも過失割合とは、その事故に対するお互いの責任(過失)の度合いを割合で表したものになりますが、交通事故の損害賠償を請求する上ではとても重要です。
以降で、過失割合を決めるうえでの注意点や交渉方法について説明いたします。
2 警察や保険会社の一方的主張に惑わされないことが大切
上記1のように、過失割合についてはまず当事者間の話し合いが行われます。
したがって、警察が被害者の方に「あなたに過失はない」とか、「1割くらいしかないよ」と言ってくれていたとしても、それはあくまでも過失割合の交渉権限や交渉経験のない警察のひとつの見解にすぎず、必ずしも警察の見解のとおりにまとまるとは限りません。
また、当事者間の話し合いで決めますので、保険会社が、〇〇%だと言っていたとしても、それが必ずしも正しいとは限らず、弁護士の介入によって、被害者の方に有利になるよう過失を修正できる場合があります。
3 過失割合の交渉方法
⑴ 別冊判例タイムズNo.38
過失割合については、事故類型ごとに基本過失割合と修正要素が決まっています。
「別冊判例タイムズNo.38」という緑色の表紙の本があり、これは、東京地方裁判所の民事第27部という交通事故案件を専門に扱う裁判所が中心となって作成に携わっています。
この本は、交通事故を扱う弁護士や保険会社は持っています。
普通の書店には置いていないことが多いのですが、一般の方でも購入可能です。
図書館でも閲覧することは可能です。
過失割合については、基本的にはこの本をベースに話し合いが進められています。
この本に書かれている修正要素が、実際にあったか、あるいはなかったかを以下の証拠から認定できれば、過失が修正されていくことになります。
⑵ 刑事記録(実況見分調書など)
刑事記録とは、警察が、交通事故事件を捜査した際に作成している記録のことをいいます。
人身事故に切り替えずに物件事故のままですと、事故状況をごく簡単にしか記載していないA4用紙1枚程度の「物件事故報告書」という書類しか作成されていないため、この場合には、過失割合の交渉に有利に使える可能性がかなり低くなってしまいます。
人身事故として警察に届け出ていれば、警察が、事故状況をある程度詳細に聴き取った上で、事故状況を記録し、実況見分調書を作成するため、これを取り寄せて、事故状況を検討することで、被害者の方に有利で、加害者側に不利な事情がないかを検討していくことになります。
加害者の供述調書なども取り寄せられることがあるため、これらの資料についても被害者の方に有利で、加害者側に不利な事情がないかを検討します。
⑶ ドライブレコーダー、監視カメラ
刑事記録の中にすでにあることもありますが、事故状況を録画したドライブレコーダーや監視カメラがあれば、その映像を検討します。
なお、ドライブレコーダーについては、事故当時の映像を保存しておかないと、上書き保存され消去されてしまうことがあるため注意が必要です。
また、監視カメラの映像なども、保存期間があることがほとんどですので、事故直後に、事故状況を記録した監視カメラの映像を保存しておくように手配しておく必要があります。
⑷ 目撃者の証言
目撃者がいれば、これも刑事記録に目撃者の供述調書として作成されていることがありますし、刑事記録になければ、目撃者の方から事故状況の聴き取りをしておく必要があります。
⑸ 上記のような証拠が残っていない場合
この場合には、基本過失割合に近い内容での解決となることが多いです。
裁判所は、まず客観的な証拠から事実認定をし、修正要素に該当すれば、過失を修正するのが基本ですが、こういったケースでは、修正要素に該当する事実を証拠から認定することが難しいためです。
この場合には、過失割合については、お互い譲り合うか、どちらかが折れるしかないのが現実のところです。
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