死亡事故について
1 死亡事故
交通事故にあい、残念ながら亡くなられる方は、毎年一定数います。
医療の発達等もあって、死亡事故の件数自体は減少傾向のようですが、それでも毎年多数の方が交通事故により命を落とされているといえるでしょう。
2 死亡事故と自賠責
死亡事故の場合でも、自賠責保険の適用があります。
そのため、死亡事故で亡くなられた被害者の相続人は、自賠責保険に対して賠償金の支払いを求めることができます。
死亡事故において自賠責保険の請求をする場合、死亡の事実を証明しなければなりませんので、死亡診断書・死体検案書が必要です。
また、被害者の方の除籍謄本や相続人の戸籍謄本などが必要となります。
3 死亡事故と加害者への請求
死亡事故の場合でも、当然、加害者に過失があれば加害者に対する損害賠償請求ができます。
加害者への損害賠償請求は、自賠責保険への請求後にすることもありますし、自賠責保険への請求をせずにすることもあります。
いずれがよいかは、状況により変わる可能性があります。
自賠責保険への請求後にする場合には、通常、損害額から自賠責保険金を差し引いて加害者に請求します。
これに対し、自賠責保険への請求なしに損害賠償請求する場合には、単純に損害額を計算して、既払い金を控除した残額を請求することが多いといえます。
4 死亡事故と複数の遺族
複数遺族がいる場合には、その割合等も問題となります。
相続人が行使する権利は、被害者の損害賠償請求権を相続したものと、遺族固有の権利として取得したものとがあります。
遺族固有の権利については、遺族の人数は問題とはなりません。
問題となるのは、被害者の方から相続した損害賠償請求権を行使する場合です。
その場合、相続人の人数や内訳によって何割の権利が行使できるのか、ということが異なります。
相続人が多ければ一人の相続人が相続する分は少なくなります。
相続割合がわかる資料としては、戸籍謄本が考えられます。
多くの場合、相続割合を示す資料として戸籍謄本を取得しておき、必要に応じて加害者側に示すことになります。
葬儀費用は交通事故の損害として請求できるのか
1 葬儀費用は請求できます
交通事故が原因で被害者の方がお亡くなりになった場合、葬儀費用が発生すれば、交通事故の損害賠償請求として相手方に請求できます。
お葬式は、人はいずれ亡くなるのであって、交通事故に関係なく執り行われ、費用として発生するものなので、損害賠償を受けられないようにも思えますが、交通事故の損害賠償実務上では、賠償されていますのでご安心ください。
2 葬儀費用はいくらもらえるのか?
⑴ 自賠責保険金からは一律「100万円」
令和2年4月1日以降に発生した交通事故による死亡の場合には、一律100万円が支払われます。
葬儀費用に100万円かかっていなくても、100万円支払われます。
そのため、任意保険会社との交渉の際に、他の項目へ充当されてしまうことがあります。
⑵ 裁判(弁護士)基準は「150万円」
横浜の地域の裁判所で準拠している裁判基準(赤本基準)では、原則150万円を賠償してもらえます。
葬儀費用が実際に150万円を下回っている場合には、実際に支出した金額が賠償されます。
⑶ 150万円より高い金額が認められる場合とは
居住地とは離れた場所で死亡した場合に、遺体搬送料が高額に及んだり、大学生が実家と大学がある場所が離れており2か所で葬儀を行うなど、必要性かつ相当性が認められる場合には、150万円を超えて賠償を受けられた例もあります。
3 どんな費用が葬儀費用として認められるのか
⑴ 香典返し
香典は、葬儀参加者から遺族に対して渡される金銭ですが、これが葬儀費用の一部として、損益相殺(賠償金額から差し引かれること)されないのかというと損益相殺されません。
香典返しは、遺族が支出するものなので、損害として葬儀費用の一部として、損害賠償として請求できるのではないかと思われるかもしれませんが、実務では、損害としては認められない扱いとなっております。
⑵ 仏壇・仏具購入費・墓碑建立費
これらの費用も葬儀関係費用として認められた裁判例もあります。
⑶ 遺体搬送料・遺体処置費用
これらの費用も葬儀関係費用として認められた裁判例があります。
弁護士に死亡事故を相談するタイミング
1 できるだけ早く弁護士にご相談ください
ご相談されても、弁護士とすぐ契約するわけではございませんので、ご相談はなるべくすぐにされておくと、少しでも安心していただけると思います。
2 遅くても示談する前にはご相談ください
どんなに遅くても、相手方と示談する前には、弁護士と相談してください。
もし、相手方と示談してしまった後ですと、その示談の効力を覆すことは至難の業ですので、賠償金が相場より低い金額であったとしてもそのまま事件解決となってしまう可能性が高いです。
3 弁護士に相談するメリット
弁護士に相談すると、適正な過失割合や適正な賠償金の相場がお分かりいただけると思います。
この相場を知らないまま、相手方の提案に応じてしまうと、裁判基準(弁護士基準)よりも、数百万円ないし数千万円低い賠償金額になってしまうこともあり得ますので注意が必要です。
4 死亡事故の解決には時間がかかってしまうことがほとんど
過失割合を検討する必要がある場合には、刑事記録(事故状況が書いてある実況見分調書など)を入手する必要があるのですが、この刑事記録は、刑事裁判が終わってからでないと入手することはできません。
死亡事故の場合、加害者の刑事裁判が終わるまでに、1年前後かかってしまうことが多いです。
加害者の方が逮捕されずに在宅のまま捜査が進められることがほとんどですので、どうしても捜査に時間がかかってしまうことも、時間がかかってしまうことの一つの要因です。
したがって、過失割合を検討する必要があるケースでは、刑事記録取り付けに時間がかかってしまうことになります。
5 先に自賠責保険金の請求をする方法もある
刑事記録を取り付けるまでの間に、先に自賠責保険金だけを請求していくという方法もあります。
6 死亡事件は示談解決よりも訴訟での解決が望ましい
示談段階では、保険会社が満足のいく提案をしてくれないことがほとんどです。
交渉に示談をかけたところで、裁判基準満額で示談に応じてくれることはほとんどないです。
こう考えると、死亡事故のケースの場合、割り切って最初から訴訟を提起するのも、結果として、早くより多くの賠償金を得て解決できることも多いです。
この点に関しては、実際に死亡事件を多く扱っている弁護士からご説明しますので、お気軽に、当法人までご相談ください。
死亡事故の過失割合
1 死亡事故は損害額が高額になる
⑴ 死亡慰謝料
死亡事故は、損害賠償額が高額となります。
まず、死亡慰謝料については、被害者の属性によって、2000万円~2800万円というのが裁判基準(赤本基準)となっています。
⑵ 逸失利益
ア 次に、死亡逸失利益という損害項目がありますが、これは、死亡したことによって被害者がもし交通事故で死亡しなければ、今後得られたであろう収入の喪失分を加害者から賠償してもらえます。
イ 死亡逸失利益の計算式
死亡逸失利益の計算式は、
基礎収入額×(1-生活費控除率)×収入を喪失したと考えられる年数のライプニッツ係数
となります。
ですから、基礎収入が高ければ高いほど、また、年齢が若い人であればあるほど、逸失利益の金額は高くなります。
ウ 具体的な算定例
例えば、基礎収入が600万円の年齢40歳の女性の方(生活費控除率:30%)が交通事故で亡くなった場合の死亡逸失利益は、
600万円×(1-30%)×18.3270(※)=7697万3400円
※40歳から67歳までの27年間に対応するライプニッツ係数(中間利息控除率:3%)
となります。
エ 死亡事故の損害額は数千万円~1億円超えも珍しくない
死亡事故の件数は年々減少しております。
また、交通事故で亡くなられる方は、65歳以上の高齢者の方が多いです。
高齢者以外の方は、死亡慰謝料と死亡逸失利益だけでも1億円を超えたり、1億円に近い損害賠償額となります。
高齢者の方の損害額は、高齢者の方は死亡慰謝料が若干低めに認定されやすいことと、収入の喪失期間が短かったり、そもそも年金収入のみの方は、主婦でもない限り、就労分の逸失利益が0円となってしまうため、損害額が1億円を超えることはまずありません。
とはいえ、損害額が数千万円いくことは、死亡慰謝料だけからみても明らかです。
2 被害者の過失割合が損害額に与える影響は大きい
⑴ 被害者自身の過失分は賠償してもらえない
被害者の損害賠償額が、1億円だとしても、被害者自身の過失が30%と認定されれば、加害者からは、1億円×(100%-30%)=7000万円の賠償しか受けることができません。
損害賠償額が、数十万円~100万、200万程度であれば、過失が5%から10%違ったとしても、受け取れる金額への影響は数万円~20万円程度に留まります。
⑵ 過失割合の交渉は弁護士に任せることが重要
しかし、死亡案件のように損害賠償額の総額が数千万円から1億円超えともなると、過失が5%~10%違うだけでも、受け取ることのできる賠償金額が数百万円から1000万円以上変わってくるのです。
過失割合の交渉を遺族の方がされたとしても、相手方保険会社は、なかなか被害者有利の過失割合での賠償に応じてくれることは考えにくいです。
過失割合の交渉については、示談段階では、弁護士が介入していても、被害者有利の過失割合で話を進めてくれることはあまり多くはありません。
このような場合には、訴訟をして解決することがひとつの解決手段となります。
3 過失割合の交渉材料
⑴ 刑事記録
刑事記録とは、警察や検察が作成した当該交通事故に関する実況見分調書や、目撃者や加害者の供述を録取した供述調書などがあります。
信号サイクルや、速度鑑定、被害者の発見可能地点を特定するものなど様々な捜査報告書も添付されていることも多いです。
訴訟では、この刑事記録が過失割合を決めるうえで一番重要な証拠の一つであるといっても過言ではありません。
⑵ 独自の調査
もっとも、刑事記録も必ずしも常に正確な情報が記録されているとは限りません。
その場合には、調査会社と協力して、追加で独自の実況見分調書を作成したりします。
そうすることで、被害者に有利な過失の修正要素を裁判所に認定してもらえる可能性がでてくるからです。
⑶ 死亡事件の場合の刑事記録の入手時期
死亡事件の場合、加害者の刑事裁判が終わるまで、約1年前後かかることが多いです。
刑事記録については、加害者の刑事罰が決まるまで、入手することはできないため、被害者側の手元に刑事記録が届くのは、事故から1年以上先になることがほとんどです。
もっとも、不起訴になっている場合には、もっと早く刑事記録を入手できますが、不起訴記録の場合には、供述調書が入手できないため、目撃者の供述内容を知ることが事実上不可能となってしまうこともあります。
4 死亡事故の過失割合についての交渉は当法人まで
当法人の交通事故担当弁護士は、死亡事故における訴訟で過失割合を示談段階よりも被害者有利に修正してもらった実績がある弁護士が在籍しております。
死亡事件についての過失割合はかなり重要な争点となりますので、ぜひ当法人の弁護士までご相談ください。
死亡事故を弁護士に依頼する場合の費用について
1 死亡事故を弁護士に依頼する場合の費用(弁護士費用)
死亡事故を弁護士に依頼する場合、通常、法律相談料、着手金、報酬金、出廷費等の報酬の他、事件処理に伴い発生する実費がかかります。
⑴ 法律相談料
法律相談料とは、依頼者に対して行う法律相談の対価をいいます。
⑵ 着手金
着手金とは、事件処理の結果のいかんにかかわらず受任時に受けるべき事件処理の対価をいいます。
⑶ 報酬金
報酬金とは、事件処理の結果に成功不成功があるものについて、その成功の程度に応じて受ける事件処理の対価をいいます。
⑷ 出廷費
出廷費とは、弁護士が、事件処理のために法廷に出かける必要がある場合に、出廷のために事務所を離れて裁判所へ移動することによって拘束されることの対価をいいます。
2 弁護士費用は法律事務所ごとに異なります
弁護士費用は、法律等で定められておらず、いわばオープン価格となっているため、個々の弁護士や法律事務所が弁護士費用の額や基準を定めることになっています。
ところが、ウェブサイト等で弁護士費用を明確に示していない弁護士や法律事務所もいまだに少なくありません。
そのため、弁護士に相談したいけれど、費用がいくらなのか分からないという不安から、弁護士に相談したり依頼することを躊躇してしまう方が多いのではないでしょうか。
3 死亡事故を弁護士法人心に依頼する場合の費用
当法人は、弁護士費用の詳細について、当法人のウェブサイトに掲載しています(こちらをご覧ください。)。
⑴ 弁護士費用特約を利用する場合
当法人では、すべての保険会社の弁護士費用特約の利用が可能です。
弁護士費用特約とは、自動車保険等に付ける特約で、保険会社から弁護士費用の支払いを受けることができるというものです。
契約内容にもよりますが、300万円まで支払いを受けることができるものが多いです。
また、同特約をご利用になる場合、弁護士が保険会社へ請求しますから、手続き的な負担もありません。
⑵ 弁護士費用特約を利用しない場合
当法人では、弁護士費用特約を利用しない場合でも、品質を落とすことなく、弁護士費用を低く抑えることにこだわっています。
具体的には、次のとおりです。
- ア 法律相談料 0円(2回目以降も0円)
- イ 着手金 0円
- ウ 報酬金 獲得金額の8.8%+19万8000円
なお、事件等の内容や難易度、回収見込総額等に応じて、法律相談料や着手金をいただく場合、報酬金を減額あるいは増額させていただく場合、又は時間制報酬とさせていただく場合もあります。
4 まずは当法人にご相談ください
具体的な弁護士費用は、加害者側に請求すべき賠償金の額、加害者側から獲得した賠償金の額、事件の状況(加害者加入の任意保険会社の有無、加害者側保険会社からの賠償案の有無、交渉中・調停中・訴訟中の別等)等によって大きく異なります。
そこで、まずは弁護士に相談し、事件の具体的な事情を踏まえて、弁護士に依頼することによって獲得し得る賠償金額と弁護士費用の目安について、弁護士に説明してもらうとよいでしょう。
当法人は、法律相談料は原則として0円ですから、お気軽にご相談ください。