物損事故と人身事故の違いに関するQ&A
交通事故でケガをした場合、物損事故扱いで処理されるのと、人身事故扱いで処理されるのとでは、賠償金額に違いはありますか?
違いが出てくることがあります。
後遺障害申請をしない場合には、人身事故扱いでも物損事故扱いでも、賠償金額に大して差がない場合が多いです。
しかし、後遺障害申請をする場合には、特にむち打ち症の場合には、後遺障害等級認定審査の際には、物損事故のままですと、事故当初は、物損事故と扱うほどの軽い事故であったのだと誤解されるおそれがあり、そうすると、むちうちで後遺障害等級14級が認定してもらえないといった不都合な結果となってしまうことがあります。
物損事故のままだと必ず14級が認定されないというわけではないのですが、人身事故と物損事故では、人身事故の方が14級が認定されやすいといった傾向にあります。
もし、本来14級が認定されるべきであるのに、14級が認定されないまま示談をしてしまうと、適切な賠償を受けられないことにもなりかねません。
物損事故と人身事故で、入手できる刑事記録に差はありますか?
かなり差があるといえます。
弁護士が入手できる刑事記録は、物損事故の場合には、A4サイズの紙1枚の物損事故報告書しか基本的には入手できません。
その報告書には、事故が起きた状況が、イラストで簡単に書かれているだけであり、当事者の言い分も一言二言書かれているくらいです。
他方、人身事故の場合には、警察が実況見分捜査を行い、より詳しく事故発生状況を記録として残しています。
入手できる資料は、例えば、起訴不起訴に関わらす入手できるものとして、実況見分調書、起訴された場合にしか基本的に入手できないものとして、供述調書などがあります。
その他、捜査報告書、ドライブレコーダー映像報告書など、その事故によって警察が作成した様々な資料が入手できたりします。
ケガをしている場合の事故で、過失を争いたい場合には、物損事故と人身事故は、どちらがいいでしょうか?
人身事故扱いにしておいた方がよい場合もあります。
前述したように、警察は、物損事故のままですと、事故状況を簡単に書いたメモ程度の記録しか残していないため、これだと過失割合を争う際の証拠としては不十分であることが多いです。
人身事故扱いにしていると、警察が様々な捜査を行ってより詳しい事故発生状況を記録してくれていますので、過失割合を争いたい場合の有力な証拠となりえます。
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